株式会社イーワークス


労働時間管理適正化基準

労働基準法により、使用者は労働者の労働時間を適切に管理する責務を有しております。しかしながら、労働時間の把握に係る自己申告制の不適正な運用によって、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題を生じさせる、使用者が労働時間を適切に管理していない事業所が存在しております。これらの問題の解消を目的として、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的にし、適切な管理の促進を図るべく「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」(平成13.4.6基発339号)が通達されております。以下のその概要とポイントをまとめてみました。

始業・終業時刻の確認・記録

労働時間の適正な把握を行うためには、単に1日何時間働いたかを把握するのでなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認、記録し、これをもとに何時間働いたか把握・確定する必要があります。

始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法

原則としてあげられている方法は、

使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること
タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

と明確に記載されております。「自ら現認する」とは、使用者か労働時間管理を行うものが、直接始業時刻や終業時刻を確認することです。また、その確認時刻については、該当労働者からも確認することが望ましいとなっています。実際の職場でこれを遂行するのはかなり大変かと思います。またタイムカード、ICカード等には、パソコン入力も含まれます。

自己申告により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置

原則的な方法によることなく、自己申告制により行わざるを得ない場合、いくつかの措置を講ずる必要があります。労働者への十分な説明、実態調査の実施、適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定してはいけないなどです。あいまいな時間管理を排除するほか、予算を超える時間外労働が行われた際に賞与を減額するなどの不利益な取り扱いを防止する目的です。

労働時間の記録に関する書類の保存

始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類は3年間の保存義務がありますが(労働基準法109条)、タイムカード等の記録のほかに、残業命令書及びその報告書、労働者自らが労働時間を記録した報告書も該当します。適正な残業管理と内容の把握が重要です。残業承認制度等の整備と記録の保管、効率的な運用には、一定のシステム化も必要と考えられます。

労働時間を管理する者の職務

労務担当役員、労務部長、総務部長等労務管理を行う部署の責任者は、労働時間が適正に把握されているか、過重な長時間労働が行われていないか、労働時間管理上の問題点がある場合にはどのような措置を講ずべきかの把握を求められております。社員規模の拡大や複数の労働時間制度の採用企業などでは、その管理負担は以前にも増して大きくなってきております。適正なシステムは運用体制の構築が必要となります。

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勤怠管理の豆知識